ミュージカル『グレートギャツビー』&『パレード』

事情があって、二日連続でミュージカルを堪能してきたので、フラメンコ記事じゃないけど、いっぺんに書く。

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『グレートギャツビー』は井上芳雄くん主演、とにかく井上くんの歌が凄くて、他ぜんぶ忘れたくらい、井上芳雄くんのプロモビデオ状態だった。

F・スコット・フィッツジェラルド作『華麗なるギャツビー』は何度も映画になっていて、五度目の映画化の主演がレオナルド・ディカプリオだった。この映画の監督が、大好きなバズ・ラーマン監督(『ダンシング・ヒーロー』とか『ムーラン・ルージュ』とか撮った人)で、も~画面が最初っから豪華絢爛、ものすごい華やかさで華美すぎるという批判もなきにしもあらずだが、私や友人たちの間では高評価の映画だった。トビー・マグワイアのニック役も冷静でとても好感が持てた。
その印象が大きすぎたか、日生劇場という空間が狭すぎたか、最初のインパクトは、「しょぼ」。
数日前に観たお隣の宝塚劇場の『スカーレット・ピンパーネル』のほうがよほど群舞は華やかで豪華だった。

次のインパクトが、とにかく井上芳雄の歌。永遠に聴いていたくなるくらい素晴らしい。井上くんは歌う回数もとても多かったし、まさに独壇場。細やかな声まで、個人的な演出が効いている。ミュージカルにおいて、歌は台詞なのだが、この歌が台詞に聞こえない人が多い中、井上芳雄の歌は歌にも聞こえるし、台詞にも聞こえる。この辺、希有な人だ。
他方、相手役のデイジーは歌い方に宝塚の独特さが残っていて、台詞として入ってこない。これでは噛み合わない。まぁ、そもそも噛み合わない恋愛なんだからいーのか☆

そして最後のインパクトが、これ、話、ワーグナー並みに男寄り(男の独りよがり下手すりゃストーカー度100%)じゃん?

いや、ほんと男の描く恋愛小説と女の描く恋愛小説は180度違うなあ。そこが面白いと思ったくらいだ。

さて、今回の舞台版『グレートギャツビー』、脚本・演出はかの小池修一郎だ。
な~んか宝塚くさいなあ~と思っていたら、やっぱり宝塚版が先だった。
な~るほど、それならいろいろ納得。

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『パレード』。久々にミュージカルらしいミュージカルを観たという気分。
まずは役者の顔ぶれが凄かったが、実際に歌も演出もまさにプロフェッショナル、素晴らしかった。ものすごい骨太な面子。衣装とか関係なく、俳優陣が豪華絢爛。
なかでも主演の石丸幹二堀内敬子二人の歌、新聞記者役の武田真治の存在感が凄かった。ラストの石丸幹二の歌は、久々に歌だけで泣けた瞬間だった。
しかーし、もったいなかったのがラストの仕上げ。脚本。

トニー賞まで取ってるらしいけど、あのいきなりな終わり方はないなあ。あとちょっとだけ手を加えて観客の感動を長持ちさせてほしかった。惜しい。

いやしかし、舞台装置はものすごく気に入ったなあ。

大きな大きな木が一本。とても効果的に舞台の三分の二くらいを占めて天へと伸びている。象徴的で、あの木を眺めているだけでうっとりした。

最初と最後にその木の上から色とりどりの紙吹雪が降ってきて、舞台の床一面を埋め尽くしてゆく。この紙吹雪はのちのちも舞台上にあって、それがまるで花片のようであったり、枯れ草のようであったり、観客の想像力をいろいろに掻き立ててくれる舞台装置になる。
最初と最後はその紙吹雪と鮮やかな照明光の中で、ジョージア州の人々が大合唱。
これはインパクト強かった。圧倒された。こういうふうに効果的に合唱を使うと、観客に強力な印象を与えることができるといういい例。ラストが締まってなかったとしても、そこだけはグッとくる。

そして照明効果。
これが本当に素敵だった。斜めに放射状に区切っただけで、舞台がいきなり牢獄内に変わる。
照明の可能性をしみじみと思い知らされる。
音楽、歌、演技、そして舞台装置、目に訴える感覚は非常に優れていた。これ以上はないと思えるほど素晴らしかった。
ので、最後。終わり方だけはどーにかこーにかしてくれ。
このままでは夜も眠れない。